夜行日和

短歌まとめ

うみ

新緑とか風薫るとか言いながら金魚がぼくの持つエサだけ見てるアイラブユーなんてことばに逃げないでもっとわたしを不幸にしてよわたしたちを特別扱いしないでと特別扱いさせようとするこれは嘘だけどシロツメグサで冠をつくってあそんだよ、きょう来るべき…

鉄塔、春

擦りきれたスニーカーでも同じ道歩けるけれど音が鳴らない細長い細長い3階建ての外階段を照らす照明息苦しさに溺れてく紫の空とイヤリングみたいな月と咲くときも散るときも黙っていよう桜前線は北上していくひたひたに滴るほどの墨をつけわたしはなんと書…

降水確率90%

擦りきれたスニーカーでも同じ道歩けるけれど音が鳴らない細長い細長い3階建ての外階段を照らす照明息苦しさに溺れてく紫の空とイヤリングみたいな月と咲くときも散るときも黙っていよう桜前線は北上していくひたひたに滴るほどの墨をつけわたしはなんと書…

春の星座

強く雨降りだす音に口中のクリームパンはかき混ぜられて白い壁話しかけても話しかけても答えないなにもかも夜シェアパックぐらいがきっとちょうどいいきみへの愛を食べて生きてるカルピスとコーラを混ぜる割合は一対一と決めている春ロックンロールになれな…

銀色の雨

三角をどんどんどんどん繋げたらうちのシャワーカーテンに続く猫のいる気配だ日暮れの自販機の裏とかブロック塀の間に近づけば逃げていってしまうところとかきみらはほんときぼうみたいだ四時になるから帰って歌いましょう あなたも一緒に歌いましょう食べか…

明るい死体

並んでるかなしみに名前をつけようか行列はずっと続いて光だけ欲しいだなんてわがままねおんなじ量の闇をあげるわデータバックアップ用にと脳みそをもうひとつ買い"ディー"と名付けるおもしろいことなんか、ほんとにないよ。魔法が唱えるためにあっても。お…

すべて正解

暖かいことと光っていることは似ていて回り続ける木馬月影に隠れて誰も撃てないわ(明朝体の仲間を狙え)きみの住む惑星(ほし)はどんどん遠くなる時空を越えて殴りに行くよさんかく座銀河まで飛んでいくよりはずっとぼくんちのほうが近いじゃん転落死してしま…

凍った惑星(ほし)

近くでは分からないのか離れたらきみの銀河はとても綺麗だぼくたちの命を削る分度器の角度は原始より変わらない虹だろうか いや、シャングリラ いや、桜 いや、モザイク画 いや、あれはブランコ破れても力いっぱい震えてる 氷点下の流れ星たちぼくはぼく自身…

ロングロングスリーパー

ネガだけを集めてぼくだけが住める国を造ろう 黒、黒、黒、黒、録音はしないで地獄に落ちるから ぶつかっていくこのリフレインぬるぬるのハンドクリーム塗りながらトースターとトーストの間に座るスプーンもフォークもナイフも要らなくて目玉の一個しかない…

ガスマスクの女

オルガンの音がしていたことがある、実家のわたしの布団だけの部屋もう一度青春が来たときのため取りて置きたるパンクファッション標本のような青空見上げてる箱庭の中のカフェオレボウル表札がないからとっておきの名をつけようここがペガサス座です安ピン…

ひなたぼっこなう

残飯になったばかりの弁当の蓋に当たってちゃんと鳴る雨一人ランチ オムライスの上のトマトケチャップの酸味にむせるできるなら働きたくない「ひなたぼっこなう」しか言わないbotになりたい銀色のかまぼこ板で直接は言えないような話をしよう同情でいいから…

ハンバーガー

うつくしい色のインクの匂いしかわたしの手からしませんようにざわめきに埋もれて歩く昼食のハンバーガーの切れ端のように昨日から虫歯がとても痛むので食べやすく切った愛をください信じてた悲しみだっていつまでもいっしょになんていてはくれないこの外の…

カチカチのパン

こまかい雪混じりの風が吹いているあの世もこんな寒さだろうか人間は甘酸っぱくてかなしくて七という字の腸の短さあの人がなんでもないと言いながらモーツァルトを聴いてる夕べ忘れてはいけないぼくはだれからも愛されないし必要でない水槽のうえにちいさな…

パラソル

息をとめそっとあたりを見渡せば生き生きとした吾以外なりユーミンの曲がかかって顔上げてみれば車は海岸線ゆく殺された檸檬が酸っぱいそれだけで自殺未遂をしたくなる朝だれかの忘れたパラソルの水色の泉触れたいふれたくないラヂオから染みだすRCサクセシ…