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夜行日和

短歌まとめ

ガスマスクの女

オルガンの音がしていたことがある、実家のわたしの布団だけの部屋


もう一度青春が来たときのため取りて置きたるパンクファッション


標本のような青空見上げてる箱庭の中のカフェオレボウル


表札がないからとっておきの名をつけようここがペガサス座です


安ピンでつついて膿を出していく そうしてぼくは首だけになる


細長い、更衣室にて喜びのあまり踊ればカニ歩きになる


雨の日の白鳥けふもなにひとつ異常はないという顔でゆく


水瓶座に産まれて深いかなしみに気づかれないようそうっと泳ぐ


なにもかも光ってみえる 銀色のドアの取っ手を磨いてるとき


眼鏡の中+眼鏡の外=世界の空はいつも二層だ


永遠に美しくあれ、永遠が永遠で無くなるくらい、黒


ウインナー、ぜんぶ火傷するまで焼きたい!欲望のまま一袋焼く。


この黒のこの塗り方が好きなんです、嗚呼、花びらがぱっと咲いて散


灰色の鳩は飛び立ち質量の重いものだけ地球に残る


母親に気づかれるようパンジーの花をむしって土に埋めてく


ねぇきみの投げたエクスカリバーがあばらに刺さって抜けない助けて


秋口にさっと羽織れる伝説の鎧こときみの薄いカーディガン


熱量はそれぞれ違うはずなのにぼくのハートはひとつしかない


クリームの何層もあるミルクレープ剥がすみたいに覗く12月


飼い主に脱いだ下着を掛けられてボイパし始めるウォーターサーバー


息をするみたいにInstagramするTwitterするFacebookしない


500円ぐらいは見ずに使えるし大人になったとみんなが言うし


マネキンがそればかり着る 都会ではこんなん流行ってますけど、何か


半額のシール貼られたお刺身と三十分の同棲をする


故郷には返れなかったカカオ豆と珈琲豆がぼくの中で会う


"Amazonのほしいものリストがガスマスクの女に会うとラッキー"


人間を、にんげんと、にんげんは、にんげんのにんげん、にんげんがにん


フライパンにはフライパンのフライパン生があるよね、恋も、悩みも

2016.11